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市民と法が100号を迎えました!

 本誌は創刊時より、司法書士のための「総合法律情報誌」をうたい、成年後見制度の創設、消費者契約法の制定、司法制度改革と司法書士法の改正、不動産登記法の改正によるオンライン申請の導入、会社法の制定、多重債務問題の抜本的解決へ向けた貸金業法・利息制限法・出資法の大幅改正、労働契約法の制定とそれに伴う労働法制の変化、特定商取引に関する法律および割賦販売法の大幅改正など、法制度の変容と司法書士実務への影響を幅広い視点から取り上げ、実務の必須知識・指針を提供するとともに、司法書士制度への問題提起や将来展望を取り上げてまいりました。
 このたび、100号刊行にあたって、ご執筆その他ご支援をいただいている方々より、お祝いのコメントをお寄せいただきましたので、掲載させていただきます。
 

市民と法
100号の詳細はコチラをご覧ください。
 


「市民と法」100号刊行記念メッセージ

(氏名50音順)

 「司法書士向けの雑誌ができるらしい」「みんな買うのかねえ」「月報司法書士と競合するんじゃない」「何号まで続くのかね」市民と法の創刊当時には、こんな言葉が多く聞かれたが、とにかく100号を迎えたということで、私たちは良い意味で裏切られたのかもしれません。
 司法書士は、実務向けの書籍、雑誌を好む傾向があることは周知のことですが、今後は、この意味でも裏切っていただき、必ずしも実務向けでない研究、理論に関する記事の掲載が増え、いつの間にか研究誌になっていることを期待しています。また、司法と福祉の連携の必要性が叫ばれて久しいですが、一向に連携ができている感じはしません。司法という分野にこだわることなく、福祉的な視点の記事も一層多く掲載していただくことが、連携に役立つのではないでしょうか。
(司法書士 安藤信明)

――「司法書士制度」にとっての「記録」という役割の重要性(感謝を込めて)――
 司法書士制度の研究をしていると、文献が極端に少ないのに気づきます。我々の先輩たちが、何を考え何をしてきたかを探るのが一苦労です。司法書士が「現場」にかかわり、不動産取引や司法制度の中で手続き以外に果たしてきた役割については、「噂」では聞くが「記録」がないためその真偽を確認するのに苦労しています。例えば、現在の不動産取引決済に関する一連の流れが、どのように完成されたのか、あるいは地方において司法制度の中で司法書士がどのような役割を果たしてきたか、など重要な情報が埋もれています。司法書士制度を文献に残すのは、私たち司法書士の役割です。制度を未来に託すためには、現在私たちの「現場」でのできごとを克明に記し、文献として残すことが不可欠です。そのための媒体として、民事法研究会の「市民と法」は貴重な役割を果たして頂いています。この書籍の発展は、私たちの制度そのものと一蓮托生であることを常に意識していきたいと思います。
(司法書士 稲村 厚)


 司法書士のための雑誌に「市民と法」というタイトルがついたことに、当初何か気恥ずかしさのようなものを感じたことを覚えている。
 創刊から17年。確かに、当時に比べて司法書士が社会的課題へコミットする場面は拡大している。一方で、各課題の根源的な部分にまで向き合えているのかといえば、未だ不十分であるように思う(自省を込めて)。
 「市民と法」は、司法書士制度の社会に対する作用や社会を構成する一人ひとりの市民と司法書士の関係を常に意識しながら、時に批判的な視点を交えて、実務と理論双方を取り上げ続けてきた。司法書士制度がさらなる変化をとげるためには、なくてはならない存在である。100号発刊を期に、さらなる発展を期待したい。
(司法書士 伊見真希)


 全国の司法書士の愛読書である「市民と法」が100号を迎えるということで、誠におめでとうございます!
 「市民と法」は、司法書士のみならず、まさに、市民の目線で活躍されている、学者・弁護士等の法律専門家にとって、極めて有益な情報を提供し続けてきた必読書であると思います。
 一人でも多くの全国の司法書士が、「市民と法」が提供する論考に触れ、自身の実務の現場でのひとつの指針とされることを祈念しております。
 200号記念の際には、コメントを求められない可能性が高いので、せっかくの機会ということで、感謝と今後のますますのご発展を期待して、コメントさせていただくことにしました。 今後ともよろしくお願い申し上げます!
(司法書士 小澤吉徳)


 「市民と法」の発刊100号おめでとうございます。
 「市民と法」は、民事法分野における現代的かつ実務的課題をテーマに企画・編集されており、法律実務に携わる者として、大きな関心とともに日々の業務の参考にさせていただいています。
 また、我々司法書士の役割に焦点を当てていただいた企画内容には、司法書士の将来に向けた自信と期待を抱かされるものがあります。
 現代は、国内では超高齢化、少子化、格差社会、過疎化、自然災害などによる影響が甚大となっており、国外でも国際関係の緊張増大、地域紛争・テロの勃発など社会経済の変動が大きく、将来への不安感が払拭できない状況となっています。
 そんな現代社会の中で、われわれ実務家が、市民の個々が抱える法律課題に適切に向き合うために、また課題解決の指針として役立つ出版物が求められています。
 貴会にそれを大きく期待するとともに益々のご発展を祈念いたします。
(司法書士 酒井寿夫)


 司法書士は、今や、伝統的な登記業務以外にも、生活紛争を解決するための簡裁代理権を活用した訴訟関係業務や、高齢社会における成年後見制度支援への一早くの組織的な取り組み、相続財産の承継をはじめとする財産管理業務への積極的な取り組み等により、弁護士とは異なる身近な市民のための法律家として社会的にも認知されてきているところであります。
 「市民と法」が、今から17年前に、21世紀に向けて新しい司法書士像を創ることを目的に創刊され、文字通りに、市民社会における様々な法的な問題に司法書士が真剣に取り組み、また市民ための法的サービスの拡充に向けて司法書士が積極的に活動するために有用な情報提供をされてきたこと等が司法書士会員にとって大きな力になり、間違いなく司法制度改革時の司法書士の実績評価につながりました。
 本誌による新分野の業務の理論的支柱や業務遂行上の留意点等の情報提供が、まさに21世紀の新しい司法書士像を構築するための新分野の業務推進にも貢献してこられ、最先端の実務現場の業務情報を提供し続けてきた本誌の役割は、司法書士界にとっても誠に大きな支援であったことは間違いありません。
 今後も、時代の要請に伴い、司法書士が真に市民のための法律家として法的サービスの提供を充実させるためにも、先駆的な専門情報提供誌として継続されることを願っております。
(司法書士 佐藤純通)


 事務所の仕事が終わり、夕飯が終わると、ウィスキーを片手に階段を下りていく。1階の所長室。お気に入りの椅子に座って、パソコンを立ち上げる。鳴りやまない電話にも研修生の質問にも誰にも邪魔されない特別な時間。この時間にいくつもの思考が生まれ、創意工夫が生まれ、そしてそれらの多くは文字になった。文字にするときはたぐいまれなる集中力で一気に書き上げた(さすがにお酒は抜きで)。
 私の父・芝豊は司法書士としての挑戦を、覚悟を、叱咤激励を、文章に残すことにこだわっていた。文章に残すことで自分や仲間を鼓舞しながら、多重債務者・消費者問題や子供の人権の問題や様々な社会病理と闘っていた。父にとって紙面もまた戦場であったに違いない。「市民と法」創刊号には「実践!街の法律家―最新消費者問題事情―消費者問題と司法書士」と題して父の論考が掲載されている。その後も、幾度となく論考を掲載していただいた。
 学生時代から「市民と法」に執筆している父の姿を見て育った娘が、父のあとを継いで司法書士になり、父と同じく、幾度か「市民と法」に論考を載せていただいた。今後も社会病理と闘う場として、また自分や仲間の法律家を鼓舞する場所として、「市民と法」が人々の意志を繋いでいくことを願ってやまない。
(司法書士 芝 知美)


 過去に発刊された本書をめくると、特に裁判関係の業務では特集の記事のお陰で随分と助けられたことを思い出す。
 司法書士を一言で表すと「時代の変化に応じて進化してきた専門職」と言えるのではないか。それが適切に進化しているか否かは市民が決めることなので多くを語ることはできないが、本書とともに司法書士が進化してきたのは誰も否定できない事実である。
 度重なる商業登記規則の改正から、登記の真実性の担保の要請と国際化の波は司法書士業務にも押し寄せてきていると感じている。
 また、現在、法務省民事局が平成29年度の運用開始を目指している「法定相続情報証明制度(仮称)」について、司法書士が率先して取り組むことができなければ、その存在価値が低下するのは明らかである。
 大袈裟ではなく、貴誌には私たちが司法書士制度を振り返る際の道標となり、また、未来を切り拓く際の参考となる書であり続けることを期待する。
(司法書士 関根圭吾)


 「市民と法」100号発刊おめでとうございます。
 司法書士は「街の法律家」とか「身近なくらしの中の法律家」とか名乗っていますし、ホームロイヤー宣言をしたこともあります。しかしそれも法的スキルがあってのことで、それがないのであれば単に迷惑な存在になってしまいます。困難な国家試験に合格しさえすれば後は何とかなる、と考えるのは間違っており、様々な情報を集め続け、一生研鑽を積み続けなければなりません。その点「市民と法」は実務に直結した大変充実した内容ですので、司法書士は必読であると言えます。
 ところで「市民と法」の表紙には小さい字で「司法書士」と書いてありますが、考えてみれば司法書士の守備範囲は大変広いので、司法書士に役立つのであれば、様々な法律家にも役立つでしょうし、市民自身にも役立つはずです。
 つまり司法書士だけではもったいないと言えるでしょう。今後は幅広い読者を意識した紙面作りにご期待申し上げます。
(司法書士 山内鉄夫)


 「市民と法」発刊100号おめでとうございます。
 100号ということで、思わず、そもそも創刊号から購読していたか心配になり書棚に見に行ったら創刊号が奥に隠れていました。1999年10月号となっていました。ミレニアム直前の発行で、執筆陣は当時の学者、役所、司法書士会を代表する方々が書いていました。
 また、司法書士の新しい職域となってきた成年後見に脚光をあてて特集を組まれていました。当時、渉外司法書士協会も創設12年目を迎え南米での無料相談会を開催していた最中であったことを懐かしく思い起こしました。「市民と法」の次なる200号に向けてさらに発展されることを祈念いたします。
(NPO法人渉外司法書士協会会長・司法書士 山北英仁)


 「市民と法」100号の発刊おめでとうございます。
 貴誌の創刊号が発刊された1999年9月は、奇遇なことに、当職の司法書士登録年月であり、その意味において、貴誌は当職と共に司法書士業界にデビューした同期のような存在です。当職が登録をした当時から現在に至るまでの司法書士を取り巻く環境は劇的に変化し、司法書士業界が注目する分野も、その時々において刻々と変化を遂げているなかで、司法書士も事業者である以上「収益につながる分野」に衆目の関心が集まることは当然の帰結であるといえます。一方で、司法書士として社会に広く目を向け、 自らが問題であると認識した分野(当職でいえば消費者問題)については徹底的な研究・研鑽を重ね、その解決に向けた新たな途を拓くことも、ある意味司法書士としての矜持であり、社会的責務であると考えます。貴誌は、全編司法書士向けという唯一無二の存在です。引き続き、貴誌がこの両者を司法書士向けに発信することのできる存在であり続けることを期待します。
(司法書士 山田茂樹)