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「第5回津谷裕貴・消費者法学術実践賞」

の受賞者決定について

 
令和4年3月10日更新


 第5回津谷裕貴・消費者法学術実践賞につきまして、選考委員会における厳正な審査の結果、受賞者を次のとおり決定いたしました。授賞式および報告会の開催要領は→コチラ
 なお、このたび実務家・消費者団体と連携した研究・活動を通じた消費者法の 立法や事件の解決に対する寄与、訴訟や消費者活動等の実践を踏まえた学術への 寄与等を対象とする「実践的学術賞」を設けることとしました。

 

■学術賞(該当者なし)

 

■実践的学術賞(1名)

〔受賞者〕カライスコス アントニオス(京都大学准教授)

〔対象〕『不公正な取引方法と私法理論―EU法との比較法的考察』(2020年、 法律文化社)等の学術上の成果を積極的に法律実務家等と共有・連携させ、消費 者法の実践の水準を前進させた学術上の功績
〔理由〕 主にEU加盟国における消費者問題に関する現代的な課題について、これら諸国における法制度上の対応を網羅的に調査・整理し、EUの「不公正取引方法指令」の内容とその具体的な施行状況などをわが国に紹介する『不公正な取引方法と私法理論―EU法との比較法的考察』を公刊したことに加え、訪問販売、電話勧誘販売、送り付け商法など不公正な取引方法に関する一連の論文を公表する等の研究活動により上げられた成果を法律実務家および消費者団体と共有し、連携する活動を通じ、わが国の消費者法の立法や消費者事件の解決に大きな寄与をした。
 受賞者のこのような寄与は、消費者法の学術と実践をつなぐものであり、それ自体が重要な業績であり、また、消費者法の実践および学術両面にわたり、学術と実践の連携という点でこれまでの水準を進歩させたものであり、津谷裕貴消費者法学術・実践賞の趣旨にふさわしい業績であることから、本賞を授与することとした。

 

■実践賞(1団体)

〔受賞者〕特定非営利活動法人消費者機構日本
〔理由〕 特定非営利活動法人消費者機構日本は、2007年に第一号の適格消費者団体の認定を受けて以来、積極的に是正要請や差止請求訴訟を行い、消費者被害の未然防止・拡大防止に成果をあげてきた。さらに、2016年には第一号の特定適格消費者団体の認定を受け、集団的被害回復訴訟を提起して先駆的な実績をあげたほか、熱意をもって裁判上および裁判外の集団的被害回復の活動に取り組んでいる。このような消費者被害の未然防止と集団的被害回復という両面にわたる活動の功績は、高く評価できる。
 津谷弁護士は、情熱をもって消費者被害の救済と未然防止のために幅広く取り組んでいた。その精神に呼応する、津谷賞にふさわしい活動である。今後、消費者裁判手続特例法が見直されるところであり、これを活用して、一層の活躍を期待する。