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「第6回津谷裕貴・消費者法学術実践賞」

の受賞者決定について

 
令和6年3月21日更新


 第6回津谷裕貴・消費者法学術実践賞につきまして、選考委員会における厳正な審査の結果、受賞者を次のとおり決定いたしました。
※授賞式および報告会の開催要領は→
コチラ

 

■学術賞(該当者なし)

 

■実践賞(2団体)

〔受賞者〕特定非営利活動法人消費者支援機構関西

〔理 由〕 特定非営利活動法人消費者支援機構関西は、差止請求訴訟及び裁判外の申入れ活動により様々な業種の事業者に対し不当契約条項・不当表示等の差止請求を展開して成果を挙げてきた。
 とりわけ、最高裁令和4年12月12日判決は、家賃債務保証業者が定める無催告解除権等の複数の不当条項に対する差止請求訴訟について、原審大阪高裁判決が、“不合理とは認められないような事情が存する場合”に限定して催告を不要とした趣旨である旨の限定解釈を施して、無催告解除条項の差止請求を棄却するなど原告全面敗訴としたことに対し、個別訴訟における合理的限定解釈を差止請求訴訟で適用することは逆に不合理な結果を招くことを論じ、他の条項も含めて逆転勝訴判決を下した。差止請求訴訟の存在価値を確立した意義を有する判決である。
 また、集団的被害回復業務においては、裁判外の自主的返金の申入れ活動を通じて複数の事業者に対し自主的返金対応を引き出す実績を挙げてきたことに加え、2023年には2件の共通義務確認訴訟を提起するなど、精力的に活動している。
 そうした活動と並行して、消費者と事業者との信頼関係を構築するため、双方向コミュニケーション研修会を開催するなどの取組みも行っている。
 以上の活動を高く評価し、一層の活躍を期待して本賞を授与することとした。

 

〔受賞者〕MRI被害弁護団
〔理 由〕 MRI被害弁護団は、日本人を対象にした米国法人による大規模なポンジ・スキーム詐欺事件について、2013年から10年間にわたり、被害者救済のため、日米をまたぐ、ロビー活動を含めた本格的な弁護団活動を、精力的に展開し、被害者が米国のクラスアクション訴訟を通じて約900万ドルを回収し、また、米国証券取引委員会(SEC)の違法収益吐出し訴訟を通じて約3200万ドルを回収するという被害の現実的な回復へと導いた。米国訴訟では、米国弁護士と密接に連携して証拠開示手続を進めるとともに、そこで得られた証拠を日本の裁判所でも活用し、日米同時和解による解決を実現した。
 これらの活動を通じて、民事、行政、刑事の各分野における違法収益吐出しの法制度と運用の実情に関する日米の差異を実務的、実際的に浮き彫りにし、多数消費者被害に係るルール形成のあり方を検討するうえで示唆に富む素材を提供した。