故津谷裕貴弁護士の追悼を目的として編纂された論文集!
本書の特色と狙い
本書は、2010年11月4日の早朝、凶刃に倒れ帰らぬ人となった故津谷裕貴弁護士の追悼を目的として編纂された論文集です。津谷弁護士は消費者被害の予防と救済の実践に精励されただけでなく、多くの論考を通して、消費者法の普及と発展に大きな功績を残されています。
第1部は、津谷弁護士に献呈された、消費者取引と法についての最先端の論考を「研究者編」と「実務家編」に分けて収録しました。
第2部は、津谷弁護士の執筆論文の中から代表的なものを収録するとともに、津谷弁護士の履歴、取組み、著作を整理しました。
本書の主要内容
第1部 追悼論集
第1章 研究者編
国民生活センターの統廃合問題をめぐって
一橋大学教授 松本恒雄
韓国における消費者政策と消費者運動
日本女子大学教授 細川幸一
消費者契約とパターナリズムに基づく介入
早稲田大学教授 後藤巻則
消費者取引法の論点−近弁連「消費者取引法試案」
京都産業大学教授 坂東俊矢
消費者取引における「取締規定」の民事的効力−消費者「市場ルール」構築の課題
国士舘大学教授 山口康夫
消費者契約法一条の私法体系上の位置づけに関する覚書─ドイツ連邦労働裁判所の労働関係の合意解約をめぐる判例の展開からの示唆
一橋大学准教授 角田美穂子
不招請勧誘
神戸学院大学教授 今川嘉文
金融サービスにおける適合性原則
明治大学教授 川地宏行
商品先物取引における差玉向かいの説明義務と違反の効果─最判平成21年12月18日の差戻控訴審判決(東京高判平成22年10月27日)を素材として
甲南大学教授 桑岡和久
デリバティブを用いた金融商品のリスク
東海大学教授 新保恵志
霊的サービス取引の法的問題点
慶応義塾大学教授 平野裕之
第2章 実務家編
消費者弁護士と正義
弁護士 山崎省吾
消費者問題の裏面にあるもの−抽象的消費者像から具体的人間像へ
弁護士 石戸谷豊
消費者契約法上の断定的判断の提供と故意の事実不告知との関係について─最判平成22年3月30日を素材として
弁護士 平田元秀
消費者契約と免責約款論−免責約款論的思考から帰責約款論的思考へ(発想の転換の必要性)
弁護士 福崎博孝
消費者庁の創設と会社解散命令
弁護士 吉岡和弘
提携リース契約をめぐる被害と規律のあり方
弁護士 池本誠司
特定商取引法による過量販売規制の構造と過量販売契約の解消制度
弁護士 齋藤雅弘
未公開株等詐欺商法の実務的被害救済手法と特定商取引法
弁護士 加藤進一郎
霊感商法被害の救済とその必要性─宗教法人世界基督教統一神霊協会の活動の問題点を手がかりにして─
弁護士 紀藤正樹
民事執行手続の実効性確保に向けたいくつかの試み
弁護士 荒井哲朗
第2部 津谷裕貴弁護士消費者法論集
豊田商法の違法性−各地の判決の紹介と違法性の再検討
使われなかった解散命令−法務省の責任
国内公設先物取引において勧誘から取引終了までの一連の行為に不法行為が成立することを認めた最高裁判決
−最高裁判所平成三年(オ)第二二〇号損害賠償請求事件・平成七年七月四日第三小法廷判決
委託者のための先物制度改革−日弁連米国先物調査から学ぶ(上)
委託者のための先物制度改革−日弁連米国先物調査から学ぶ(下)
アメリカ・カナダの勧誘電話拒否登録制度の現状
−違反に厳しい態度で臨むことが信頼確立の源泉
<座談会>消費者問題に向き合う
不招請勧誘規制のあり方について(上)
不招請勧誘規制のあり方について(下)
津谷裕貴弁護士著作一覧
津谷裕貴弁護士略歴